新入試制度の割合比率に隠されたウラガワ

2012年7月5日

神奈川の入試は今年から新しい制度になる。このエントリ-でも触れたが、新入試制度の一番の目玉は、前期後期が一本化されて各学校が自由に比率を選べるということ。しかし実際は、全日制の全コース・学科を含む202のうち、約46%にもあたる93校が「内申:学力:面接=4:4:2」を採用している。なんでこんなに偏っているのかと不思議に思っていたところに、4:4:2を採用している高校の副校長さんがなんとうちの塾にキタ━━━d(゚∀゚)b━━━!!なんというタイミングの良さ!ってことで、持ち前の愛嬌の良さを武器に、根掘り葉掘り色々と引き出してみる。これがまぁペラペラとよく話す副校長さんで、引出しがいのあることあること!

今回の入試制度の改革は、当然ながら、受験生だけでなく高校側にとっても新しい試みである。受験生を指導するこちらも手探り状態であると同時に、入試を実施する高校も実は手探り状態で「ぶっちゃけどうするよ?」という感じなのだそうだ(そんなフランクな言い方はされていません。あくまでも私というフィルターを通した意訳です)。だから、内申に偏るのでも学力に偏るのでもなく、内申:入試が半分ずつになる4:4:2を『無難に』採用している学校が多いのでは?とのこと。

内申の割合を大きくすれば、中学校の良い子ちゃんが集まってきて学校の風紀は保たれるが、その分どうしても受験者の男女バランスも崩れることになるし(女子の方が内申がもらえる良い子ちゃんが多いのは確か)、学校の学力も低下することになりかねない。かといって、トップ校以外の学校でもし学力の割合を大きくすれば、内申が悪いヤンチャな生徒が集まってきやすく、高校の生活指導が大変になる。だから、どちらに肩入れするのでもなく、最も無難な4:4:2を選ぶ高校が多くなるってわけです。

旧トップ校に3:5:2が多いのは、トップ校くらい目指す中学生だと、内申の割合を少なくしたところでヤンチャな生徒は殆ど集まらない。つまり、学校風紀も悪くならないし、学力が高い生徒が集まる分学校のレベルも上がる。でも、もしトップ校以外の学校が内申の割合を低くしたら、それこそ各地からヤンキーが集まってきて、ヤンキーの巣窟となってしまう。だから、必然的にトップ校以外の学校は、4:4:2を選択せざるを得ないということ。

なるほどね。この副校長さんのおかげで納得しました。結局、各高校の裁量で自由に割合が設定できるといっても、トップ校以外の高校は無難な選択をせざるを得ず、学校の特色を入試に反映することができないのです。

ところで、この入試制度で一番犠牲になるのは、『トップ校に行けるほどの学力はないが、2番手校を狙える学力はある。でも学校で良い子ちゃんとは言えず、内申はあまりよくない』子。特に小田原の場合、2番手校の西湘が「5:3:2」という割合を採用しちゃったもんで、『小田原には少し学力は足りないけれど十分な実力はある。でも、ボク内申が悪いデス。』という子は悲劇。今までだったらそういう子は西湘に行くんだけれど、今年からはそういう子の行き場所がない。3番手校に行くか、遠いところの学校を探すかという選択を迫られることになる。

学力がそこそこの子が集まりにくくなる西湘のレベルはこれからどうなっていくのでしょう。今後、学校のレベルの位置付けが変わってくることも十分考えられます。